2026年前期の連続テレビ小説第114作目『風、薫る』の主人公の一人のモデルになった看護婦の鈴木雅を紹介します。
2026年前期の連続テレビ小説第114作目『風、薫る』。
そのモデルの一人として今、熱い視線を浴びているのが、明治期に「トレインドナース（正規の教育を受けた看護婦）」として活動した鈴木雅（すずき・まさ）さんです。
注意: 検索結果に多く表示される、元プロ野球選手でボディビルダーの鈴木 雅（すずき・まさし）氏とは、全くの別人です。朝ドラのモデルとなったのは、日本の看護職の礎を築いた明治の先駆者・鈴木雅さんです。
彼女はなぜ、当時の社会で地位の低かった看護の道を選んだのか。
同期の大関和（おおぜき・ちか）との揺るぎない絆や、1940年に82歳で亡くなるまでの史実を、最新の検証に基づき解説します。
朝ドラ『風、薫る』モデル 鈴木雅と「トレインドナース」｜看護師の地位向上の歴史
明治初期、病人の世話をする「看病婦」は、専門教育を伴わない役割とされ、社会的な評価も低いものでした。
その常識を覆したのが、雅さんたちが修めた「トレインドナース（教育訓練を受けた看護師）」という制度です。
日本近代看護の始まり
- 学びの場： 1887年頃に櫻井女学校附属看護婦養成所へ入学。
- 教育内容： 外国人指導者（アグネス・ヴェッチ等）から西洋の近代看護技術を直接学び、英語力を活かして通訳を務めるなど、最先端の衛生学導入に貢献しました。
- 先駆者として： 雅さんたちは、技術と知識を兼ね備えた新しい看護婦像を築き上げ、看護が単なる「下働き」ではなく「科学的知識に基づいた専門職」であることを社会に示しました。
【同期の絆】鈴木雅と大関和の史実上の活動と拠点
ドラマ『風、薫る』でも重要なテーマとなる、同期の大関和との関係について。
二人は養成所の第1期生として学び、卒業後も日本の看護普及を二方面から支えました。
| 項目 | 鈴木 雅（東京中心） | 大関 和（上越中心） |
|---|---|---|
| 主な活動拠点 | 東京（帝国大学附属病院など） | 新潟・上越（知命堂病院など） |
| 歴史的な功績 | 「慈善看護婦会」の設立・運営 | 知命堂病院看護婦長・実地教育 |
| 主な役割 | 看護組織の構築と経済的自立の推進 | 現場での看護指導と地域医療への貢献 |
| 関係性 | 養成所同期（第1期生）の盟友 | 養成所同期（第1期生）の盟友 |
ドラマの舞台「上越」との繋がり
2026年朝ドラ「風、薫る」ヒロインモデルに、知命堂病院（上越市）初代看護婦長「大関和さん」看護師制度の礎築く 11日に院内で写真や書を展示 https://t.co/mCnXKrn1n6
— 新潟日報ニュース (@niigata_nippo) October 9, 2025
史実では、鈴木雅さん本人が新潟県上越市の「知命堂病院」で具体的に活動した記録は確認されていません。
しかし、同期であり盟友の大関和が上越で看護の普及に尽力する中、東京で看護組織を率いた雅との間には、日本の看護の未来を巡る密接な連携があったと考えられています。
▼明治のナイチンゲールと呼ばれた『大関和』は以下の書籍で詳しくごらんいただけます。
「派出看護」の創設と看護職の経済的自立
鈴木雅さんの最も特筆すべき功績は、看護を単なる奉仕ではなく、女性が自立できる専門職へと変えた点にあります。
慈善看護婦会の設立（1891年）
雅さんは1891年、日本初の派出看護婦会である「慈善看護婦会」を設立しました。
- 派出看護とは： 病院内だけでなく、各家庭へ訓練を受けた専門の看護師を派遣するサービス形態です。
- 現代への繋がり： この形態は、現在の「訪問看護」のルーツの一つと評価されています。雅さんは、この仕組みを通じて、看護婦が正当な報酬を得て経済的に自立できる新しい道を開拓しました。
鈴木雅の結末｜1940年、激動の昭和に見届けた最期
鈴木雅さんの人生は、日本の近代看護史と深く重なります。
看護婦会の経営から引退
雅さんは看護組織の構築に一定の目処をつけた後、1901年（明治34年）頃、看護婦会の経営を同期の大関和らに託し、第一線を退きました。
1940年、82歳で逝去
その後、大正・昭和の時代を静かに過ごし、1940年（昭和15年）に82歳でこの世を去りました。
彼女が逝去した1940年は、日本が「皇紀二千六百年」の奉祝ムードに沸き立つ一方、戦時体制が強化され、看護が国家の枠組みに強く組み込まれていく大きな転換期でした。
雅さんが心血を注いだ「看護」という専門職が、その役割を大きく変えようとする直前に、彼女は静かな最期を迎えました。
しかし、彼女が示し続けた「自立と専門性」の精神は、戦後の日本の看護復興期において、揺るぎない基盤となったのです。
まとめ：モデルになった看護師の鈴木雅！朝ドラ『風、薫る』をより深く楽しむために
鈴木雅さんは、偏見と戦いながら、看護を「科学」と「自立」の柱の上に築き上げた先駆者です。
史実では詳細な心情は記録されていませんが、ドラマ『風、薫る』では、困難な時代を共に生きた雅と和の同期の絆、そして彼らが日本の医療に残した偉大な足跡が、感動的に描かれることでしょう。
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